MITのダニエル・キム教授が唱えた、組織に成功をもたらす基本的な考え

MITのダニエル・キム教授が唱えた、組織に成功をもたらす基本的な考え

結果だけを追い求めると、なかなか目標は達成できない

MIT(マサチューセッツ工科大学)の教授ダニエル・キム氏が提唱した「組織の成功循環モデル」。MITは全米屈指のエリートと名門校の1つとされ、ノーベル賞受賞者を多数輩出しています。
このMITのエリート教授であるダニエル・キムは、個人と組織の学習に関するもっとも優れた、且つもっとも理解しやすい理論を構築したと言われています。
彼の唱えたのは「組織の成功循環モデル」です。組織が成果を出したり、成功に向かって進んでいくために、重要視しなければならないことは、「結果の質」をよくするために、まず「関係の質」を改善しなければならないとする理論です。

リーダーは、常日頃から結果を求められており、何よりも結果(数字)を出さなければなりません。それは組織を率いている身であり、数字が出なければ会社は存続できないからです。しかし、結果だけを追い求めると、なかなか目標は達成できないとダニエル・キム教授は示唆します。
「成功循環モデル」とは、組織に成功をもたらす基本的な考え方で、グッドサイクルとバッドサイクルの二つのサイクルがあるといいます。

メンバー同士の「関係の質」をいかに高められるか

バッドサイクルは、結果だけを求め、「結果の質」を向上させようとすることから始めます。しかし、なかなか成果が上がらず「結果の質」が低下すると、対立や押し付け、命令が横行するようになり、「関係の質」が低下していきます。
ときには一時的に成果が上がるかもしれませんが、それはメンバーが追い詰められた状態で出した成果にすぎないので、持続せず、結局、同じサイクルに入っていきます。
「関係の質」が悪化すると、メンバーは考えることをやめ、受け身になり、仕事がつまらないと感じ、「思考の質」が低下します。受け身なので、当然、自発的・積極的に行動しなくなり、「行動の質」が低下して成果が上がらなくなる、つまり「結果の質」が低下するわけです。
私の所属していた組織や顧問先をみても、停滞していたり、なかなか成果の上がらない組織は、このようなバッドサイクルに陥っているケースがよくあります。

一方で、グッドサイクルは、「関係の質」を高めるところから始めます。「関係の質」を高めるとは、相互理解を深め、お互いを尊重し、一緒に考えることです。
ここから始めると、メンバーは自分で気づき、面白いと感じるようになり、「思考の質」が向上します。面白いと感じるので、自分で考え、自発的に行動するようになり、「行動の質」が向上していきます。その結果、「結果の質」が向上し、成果が得られ、信頼関係が高まり、「関係の質」がさらに向上していきます。

成果を持続的に出していくための近道はグッドサイクル

「関係の質」の大切さを理解せずに、「結果の質」だけを求めてしまいますと、部下との信頼関係を築けず、どんなに努力しても組織として結果を出せないという状況になってしまうのです。
一見すると遠回りをしていると感じるかもしれませんが、何よりもまずメンバーとの人間関係の質を高めることが、成果を持続的に出していくための近道であるのです。
メンバーに対して「結果を出せ」と怒鳴り散らす前に、リーダーとしてやるべき大切な心構えですね。

ではなぜ関係性の質が高まると、結果の質が変わるのでしょうか?
「関係の質」が高まると、お互いの周波数が同期化されていきますので、他の人の想いや考え方が共感できるようになります。その結果、お互いの体験や想いが交流するので「場」が形成されて、集合的な思考、共同思考が生まれてきます。
多くの学びや気づきは、人と人が交わることで成立していくことが大半です。そしてその場から、自分たちの既成概念や行動の枠組みが壊れ、新しいアイデアや知識、今まで見られなかった行動が共創的に生み出されていくようになるのです。そういった共創行動を通して、結果としての素晴らしい価値が生まれていくのです。
関係の質が向上すると結果の質が向上する。
これが22年間店舗ビジネス業界で仕事をしてきた私の結論です。

加納聖士

多店舗化セミナー|加納 聖士

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です