多店舗展開に必要とされる7つの条件《中編》

多店舗展開に必要とされる7つの条件

フランチャイズ本部になれるかどうかの7つの判断軸

前回のコラムでは、多店舗展開に必要となる7つの条件のうち、

1、営業利益率15%以上
2、投資回収が2〜3年以内
3、参入障壁が高く、撤退障壁が低い

の3つの条件について書きました。

今回は、4番目と5番目の

4、差別化があり、競争優位性を持っている
5、出店エリアの拡大度、ドミナント出店が可能か

について、説明していきます。

差別化と競争優位性はどう高めていったらいいか

まず4番目の条件の「差別化と競争優位性」についてです。
最初にこの二つの言葉について定義したいと思います。
「差別化」とは、競争相手に対して自社のポジションを確立するために「意味のある違い」を打ち出す活動のこと。
「競争優位」とは、競争相手より「優れた価値」を提供したり、競争相手が「真似できない商品サービス」を磨き込んでいく活動のことです。

では差別化と競争優位性はどう高めていったらいいと思いますか?
私はこの問いに対して以下の12の質問をしっかり明確にすることだと思います。

01.あなたの商品の特徴を2つあげるとしたら、ズバリどんな商品か?
02.その特徴2つを、20秒以内で、直感的にわかるように説明すると?
03.20秒以内で説明しただけで、「なんとか売ってくれ」と頭を下げて、嘆願してくる顧客は、どのような顧客か?
04.いろいろ似たような会社がある中で、既存顧客は、なぜあなたの会社を選んだか?
05.同じような商品を買えるような会社がいろいろある中で、なぜ既存顧客は、あなたの会社から、この商品を買うことになったか?
06.あなたの顧客は、どんな場面で、怒鳴りたくなるほどの怒りを感じているか?
07.あなたの顧客は、どんなことに、夜も眠れないほどの悩み・不安を感じているか?
08.あなたの顧客は、どんなことに、自分を抑えきれないほどの欲求を持つか?
09.あなたの顧客がその「怒り・悩み・不安・欲求」を感じる場面を、「五感」を使って描写するとしたらどうなるか?
10.なぜあなたの商品は、あなたの顧客のその悩みを簡単に、しかも短時間で解決することできるのか?
11.あなたの見込み客がそれを聞いたとたん、どんな疑いを持つか?
12.その猜疑心を吹き飛ばす、”具体的・圧倒的な”証拠はあるか?

差別化と競争優位とは、結局はこの12の質問をひたすら考えることに尽きます。
ひたすら考えていく過程で、だんだんと他社との違いがわかってきますし、他社と比較してうちは何に力を入れていけばいいのかおのずと見えてきます。
経営者の仕事は考えるシゴトです。
ですので、この12の質問を考えることからはじめてみましょう。

多店舗展開する最大のメリットがシナジー効果

5番目の条件は、「出店エリアの拡大度、ドミナント出店が可能か」というお話です。
多店舗化やチェーン展開の最大のコツはドミナント出店ができるかどうかです。
ドミナント出店とは攻める地域を特定して、その特定した地域内に集中して店舗を出店することを指します。
では、なぜ多店舗化やチェーン展開のコツがドミナント出店なるのでしょうか?
それは多店舗展開する最大のメリットがシナジー効果だからです。シナジーを働かせて経常利益率を改善することが多店舗化の目的だからです。
そう定義しますと、管理コストや物流効率、人材移動も含めてドミナント出店できるかどうかで、シナジーのかかり具合が変わってきます。つまり、シナジー効果を一番に考えて多店舗化するなら、商圏は狭ければ狭いほどいいのです。

商圏の狭さということで、コンビニを例に出してお話します。現在のコンビニエンスの商圏は 一般には500メートル、3,000人と言われます。
正確には日本の人口が1億3000万弱なので5万店に迫る現在の商圏は平均2,600人になります。
次に、この数字を元に全国展開できる店舗数のおおよそを計算します。
例えばコンビニの商圏が26,000人ならば5,000店舗が限界になります。26万人が商圏ならば500店舗までしか拡大できない計算です。

次にコンビニ以外の一般的なチェーン店の店舗数で考えてみましょう。
まず前提条件となるのはコンビニのターゲットは老若男女、日本人すべてがターゲットだということです。(外国人もいますが)
通常の一般的なチェーン店のターゲットの場合、その属性が絞られます。ですのでコンビニの1/3と考えましょう。そう考えますと30万人規模の商圏で約170店舗(500店舗÷3)がチェーン店の全国展開した時の限界店舗数になることが理解できると思います。
つまり商圏10万人に置き換えるならば約500店舗が限界になるのです。
つまり10万都市に1店舗出店できて全国に500店舗です。
和民などの居酒屋チェーン店が500店舗までしか拡大できなかったのはこの理由からです。

商圏が狭いビジネスの方が、全国に広がりやすい

ではなぜここまで店舗数にこだわるか?
これが冒頭で説明したシナジー効果なのです。
コンビニのような5万店あるときのスケールメリットと、500店のスケールメリットでは、どちらが仕入れ原価を安くすることができるか、ってことです。
あきらかに5万店の方が「規模の経済」の恩恵を得られますよね。
また別の角度からみて同一地域での管理コストや物流効率、または人材移動コストという点でみた場合も、5万店と500店では明らかにシナジーをかけられるのは5万店です。
だからこそFC本部の収益性という意味で出店エリアの拡大度と、ドミナント出店が可能かというのは非常に重要な要素になってくるのです。
つまり商圏が狭いビジネスの方が、全国に広がりやすく、しかもシナジー効果が働くので本部は儲かりやすいのです。
当然、ハコ(お店の大きさ)も小さくなりますから初期投資も少額になりますからね。
それでも商圏的にやっていけるということは収益性がいい証拠なのです。
以上が、多店舗展開する7つの条件のうちの4番目と5番目の条件でした。

加納聖士

多店舗化セミナー|加納 聖士

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